施工事例・ご相談事例

くらしの法律相談室(住宅生協だより<夏号> 2022.0701 vol.111 掲載分)

生協・消費者住宅センターの顧問弁護士宮地理子先生に「くらしの法律相談室」を担当して頂いています。
素朴な疑問や困った問題など実際に対応した事案を紹介したいと思います。

相談内容

私は、分譲マンションの一室を所有、居住していて、今年からマンション管理組合の理事長をしています。

202号室にお住まいのXさんから、203号室にお住まいのYさんが、ベランダで夜遅くまで複数人で飲酒しているようでうるさい、ベランダに自転車、スノーボードなどを置いているといった苦情が寄せられました。

Xさんは、Yさんに直接お伝えしたようなのですが、「自分の家のベランダをどう使うか、あなたに口を出されることではない。」と

全く意に介さない態度だったとのことです。

マンションの管理規約では、ベランダに置いていい物として、エアコンの室外機や衛星放送アンテナ、物干し竿と決められていて、それ以外の物はダメというのが原則です。

管理組合として、どのように対応したらいいでしょうか。

宮地理子先生の回答

分譲マンションは、一棟の建物の内部が数個の各室に区分されています。

この各室に、一棟の建物全体とは区別して独立した住居としての所有権、区分所有権が認められ、建物の区分所有等に関する法律で定められています。

マンションの「共有部分」と「専有部分」という言葉をお聞きになったことがあるでしょう。

共有部分とは、原則として区分所有者全員が共有する部分のことです。共有部分の管理、補修などは、区分所有者で構成される管理組合が行い、個人の判断で勝手に変更することはできません。

共有の場所として、決まりに従って使用しなければいけません。

エントランス、エレベーター、階段、廊下などは、区分所有法で法定共有部分とされていますし、集会室、管理人室、駐車場などは、マンション管理規約で共有部分とされています。

他方、専用部分とは、区分所有権の対象となる部分のことで、分譲マンションの各室です。

今回問題となったベランダは、「共有部分」です。ベランダは、ベランダが設置された部屋に済んでいる特定の人が使用するので「専用部分」と誤解されそうですが、「共有部分」なのです。

ベランダ、専用庭、専用駐車場など、「共有部分」であっても特定の人が使用する箇所を、紛らわしいことに「専用使用部分」と呼んでいます。

したがって、ベランダは「共有部分」として、決まりに従って使用しなければならず、自分の部屋のベランダをどう使おうと勝手でしょうというYさんの言い分はとおりません。

これを前提に、管理組合として、Yさんに、マンション管理規約で規定している決まりを伝え、決まりを守るように話をする、書面で通知するということから始めるのがよろしいでしょう。

共有部分の使用について他の区分所有者の迷惑になる行為を禁止する規定や、ベランダに置いていい物が定められた規定等をYさんに示しながら、Yさんがこれらの規定に違反しているのか、事実関係を聞き取りながら、話し合いを進めてみてください。

マンション管理組合としての対応に誤った場合や行き詰まった場合は、住宅生協にご相談ください!

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