
地盤とは、家を支える基礎部分のさらに下にある地面のこと。
地盤の硬さはその土地の成り立ちや地層の種類によって異なり、万が一家の重さを支えきれないことがあればその上に建つ家は沈み込んでいってしまいます。
そのため、住宅などの建築物を建てる際には必ず地盤調査をする必要があります。その結果、基準を満たしていれば問題ありませんが、地盤が軟弱であると判断された場合には地盤を強くするための「地盤改良工事」が必要になるのです。
本記事ではこの「地盤改良工事」について詳しく解説します。
地盤改良工事とは?

「地盤改良工事」とは先にも述べたように、地盤の強度を調べて強度が低いと判断された場合に地盤を改良して強くするための工事です。
地盤調査で地耐力が20〜30kN/㎡以下の場合には軟弱地盤と判断され、地盤改良工事が必要となります。また、過去に陥没が発生した土地であったり、埋立地であったり、液状化の可能性がある土地も同様に地盤改良工事が必要です。
地盤改良工事の4つの種類

地盤が軟弱であると判断された場合、地盤を強くするための改良工事を行います。
地盤改良工事にはいくつか種類があり、それぞれメリットもデメリットもあります。重要なのは、その地盤に一番適した工法を選択すること。そのためにも主な工法4つの特徴を理解しておきましょう。
表層改良工法
表層改良工法は、名前の通り表層(深さ2m以内)を固めて強化する工法です。
軟弱地盤が浅い場合のみに施工することができ、比較的安く短期間で行うことができます。
具体的には表層の軟弱地盤を掘削し、土とセメント系の固化材を混ぜ合わせて固めます。
柱状改良工法
柱状改良工法は、セメント系固化材と土を円柱状の柱のような形に固めて地盤を強化する工法です。表層改良工法よりも深いところまで強化することができ(深さ8mまで)、表層改良工法と同じく比較的安い費用で行うことができます。
表層改良工法と、柱状改良工法では、土の質によっては固化材がうまく固まらないこともあるので事前に確認が必要です。
鋼管杭工法
鋼管杭工法は、上記2つの工法のように土を固めるのではなく、専用の機械で鋼管杭を埋め込んでいく工法です。硬い地層(支持層)が深くてもできるのが鋼管杭工法なのですが、コストが高いのがデメリットです。
既製コンクリートパイル工法
既製コンクリートパイル工法では、工場で作った既成のコンクリート杭を重機で土に埋め込んで地盤を強化します。深さ20m程度まで対応でき、土質にも左右されることなく施工することができます。
地盤改良工事の費用

地盤改良工事の4つの工法をご紹介しましたが、気になるのは工事にかかる費用ですね。それぞれの工法でかかる費用の相場をまとめました。
地盤改良工事の種類 | 坪単価 | 延べ床面積30坪程度の費用相場 |
表層改良工法 | 1〜2万円程度 | 想定 30〜50万 |
柱状改良工法 | 2〜3万円程度 | 想定 50〜100万円 |
鋼管杭工法 | 4〜6万円程度 | 想定 100〜200万円 |
既製コンクリートパイル工法 | 2~3万円程度 | 想定 80~150万円 |
実際の工事費用は、同じ工法でも土地の状態や土質、建築計画、業者によっても変わってきます。
できれば複数の業者に見積もりを作成してもらい、そこから選択ができると安心ですね。
地盤改良工事にかかる費用がわかるタイミングは?

もともと強固な地盤があれば改良工事の必要はありませんが、地盤調査をしてその結果に基づいて工事の内容が決まります。
そのため、土地購入時や家の設計前には地盤改良のためにかかる費用はわかりません。土地と建設会社を決めて地盤調査を行った後でやっと正確な費用がわかります。
予想外の費用が発生すると大変ですのであらかじめ地盤改良費用が発生する可能性があることを頭に入れておきましょう。
とはいえおおまかな予算は知っておきたいもの。役所に行ってハザードマップを見たり、建築会社で周辺の土地の地盤調査の資料を確認できることもありますので、まずは相談してみると良いでしょう。
地盤改良費が発生しやすい土地とは

地盤改良には大きなコストがかかるので、できれば工事を必要としない土地を探したい方もいるでしょう。
地盤改良が必要な土地、必要でない土地の特徴もみておきましょう。
地盤改良費が発生しやすい土地
地盤改良が必要となりやすいのは、昔田んぼや畑だった土地、埋立地、近くに海や川がある土地などです。
地盤改良費が発生しにくい土地
反対に地盤が強い土地は、標高が高い土地、地層が形成されたのが古い土地、造成されたものではなく自然に形成された土地などです。
まとめ
大切な家族が安心して暮らせる家をつくるためには、地盤はとても大切です。
せっかく家を建てるのであれば、地盤からしっかりとした地震に強い家にしたいですね。2000年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、地盤調査は義務化されていますが地盤改良は義務ではありません。
予算と状況に合わせてベストな方法を選びたいですね。
地盤改良や地盤調査について不安なことがありましたら、お気軽に住宅生協へご相談ください。