
シロアリ被害を受けやすい断熱材とは

室内外の冷気や熱の伝達を遅らせて、室内を快適に保つための断熱材。冷暖房の消費電力削減のため、家を建てる時に断熱材を取り入れる方も多いのではないでしょうか。
しかし、実は断熱材はシロアリの被害を受けやすい場所であることを知っていましたか?
シロアリ被害を受けないためには断熱材の素材選びがとても大切です。
断熱材の種類とシロアリ耐性について確認してみましょう。
断熱材の種類 | 素材の種類 | シロアリ耐性 |
無繊維系断熱材 | グラスウール | 強い |
ロックウール | 強い | |
木質繊維系断熱材 | セルロースファイバー | 強い |
インシュレーションボード | 弱い | |
天然素材系断熱材 | ウールブレス | 強い |
炭化コルク | 強い | |
発泡プラスチック系断熱材 | フェノールフォーム | 弱い |
ポリスチレンフォーム | 弱い | |
硬質ウレタンフォーム | 弱い |
上記の表から、発泡プラスチック系の断熱材がシロアリに弱いことがわかりますね。
無繊維系の断熱材は、主原料が無機質のためシロアリの食害を受けにくい素材です。
木質繊維系断熱材のセルロースファイバーは、シロアリの駆除や予防に効果的なホウ酸が含まれているためシロアリ対策に有効な一方で、インシュレーションボードはホウ酸が含まれていないのでシロアリの被害にあう可能性があります。
天然素材系断熱材のウールブレスはホウ酸による防虫加工がしてあり、炭化コルクにはスベリンと呼ばれる虫除け効果のある物質が含まれているため、シロアリに強い断熱材です。
基礎断熱はシロアリ被害を受けやすい?

基礎断熱とは、住宅の土台となる基礎を断熱材で覆い、床下の温度を一定に保つためのもの。室内の温度を快適に保つために重要ですが、一方でシロアリ被害のリスクが高まるとも言われています。
なぜなら、室内を快適な温度に保つことで、温度変化が苦手なシロアリにとっても快適な環境を作ってしまうからです。
断熱工法の違い
さらに、基礎断熱の基礎の工法によってもシロアリ被害のリスクは異なります。
内断熱
内断熱は柱や壁の隙間に断熱材を設置する工法で、施工のしやすさとコストの低さがメリットですが、外断熱と比較すると気密性や断熱性は低くなります。
基礎の内側に断熱材があるため土壌と床下が接することがないためシロアリの侵入を防ぎやすい構造となっています。
外断熱
外断熱は建物全体を外から包み込むので断熱材の隙間がなく、断熱性と気密性が高いのがメリットです。一方で、シロアリが好む環境を作ってしまうことと、断熱材が土壌に触れているためシロアリが侵入しやすくなるというデメリットがあります。
この場合は、防蟻メッシュを使用することでシロアリの侵入リスクを下げることができます。
付加断熱
付加断熱は、内断熱と外断熱を併用した工法のこと。断熱性がさらに高まり、熱損失を最低限に抑えることができます。
外断熱と同じく土壌に断熱材が触れるためシロアリ対策が必要です。
ベタ基礎と布基礎の違い
断熱工法の他に、ベタ基礎か布基礎かでもシロアリ耐性は異なります。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、基礎の立ち上がりだけでなく、床下一面を鉄筋コンクリートで覆う工法です。コンクリートに厚みがあるので湿気が建物に伝わりにくい上に、建物と地面が直接触れていないのでシロアリの侵入を防ぐのに効果的です。
布基礎
布基礎は、地面に逆T字型にコンクリートを打ち込む工法です。湿気が溜まりやすく、土壌が剥き出しになっているのでシロアリが侵入しやすい構造です。
そのため布基礎にする場合はシロアリ対策が必須です。布基礎でシロアリ対策をする場合には、防湿シートを敷いたり、薬剤を散布すると良いでしょう。
基礎断熱の新築を建てるときに気をつけるべきこと

基礎断熱にはシロアリ被害のリスクがあることがわかりましたね。では、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。
防蟻処理が施された断熱材を使用する
最初にお伝えしたように、断熱材にはシロアリに強いものと弱いものがあります。シロアリが食べない素材のもの、または防蟻効果のある素材を選ぶことでシロアリ被害のリスクを抑えることができます。
湿気がこもらないように換気システムにこだわる
シロアリが好む環境を作らないためには、床下の換気システムもとても重要です。
湿気がたまらず、風通しが良い状態を保てるよう換気システムを設置しましょう。換気システムの設置場所によっても効果が変わるため信頼のできる業者に相談してみましょう。
断熱材の保証を確認する
断熱材は材質にもよりますが、結露により劣化するため耐用年数があります。
断熱材を使用する際は保証期間と保証内容についても確認しておきましょう。
シロアリ処理は「5年に1度」

シロアリを防ぐための薬剤による処理は、「5年に1度」必要であると言われています。
環境への負荷を考え、薬剤の効力が5年となっているためです。薬剤処理を行ってから5年後には大半の防蟻成分は消失しているため「5年に1度」の処理が必要なのです。
シロアリ被害を防ぐためには5年に1度、業者に依頼して薬剤処理を行うと安心です。
断熱材に防蟻効果がある場合でも、それだけに頼らず5年に1度のシロアリ処理で大切な家を守りましょう。
まとめ
シロアリと断熱材について解説しました。断熱材の種類や工法によってそれぞれのメリットやデメリットがあります。それらを踏まえた上で住宅の環境に合った断熱材を選びたいですね。
断熱材についてわからないことがあれば住宅生協へお気軽にご相談ください。