施工事例・ご相談事例

くらしの法律相談室(住宅生協だより<秋号> 2022.1001 vol.112 掲載分)

生協・消費者住宅センターの顧問弁護士宮地理子先生に「くらしの法律相談室」を担当して頂いています。
素朴な疑問や困った問題など実際に対応した事案を紹介したいと思います。

相談内容

私の実家は、JR中野駅から徒歩15分程にある戸建住宅(築45年)です。

長年、両親が暮らしてきましたが、6年前に父が亡くなった後は、母(96歳)がひとりで暮らしていました。 ここ1年程で、母の物忘れが目立つようになり、足腰が弱ってきて、 一人暮らしは心配なので、介護付有料老人ホームに入ってもらうことにしました。

実家の土地は120㎡、 建物は木造2階建延床100㎡、亡父の所有名義のままになっています。亡父の相続人は、母と私と妹です。 私も妹も実家に住む予定はないのですが、 空き家にするのも防犯上心配です。

母は年金収入しかなく、 施設費用がそれなりにかかるので、実家を売却するのが経済的だろうと思うのですが、母も私たち姉妹も実家がなくなるのは寂しくて、決心がつきません。

 友人から、家をリフォームした上で、 人に賃貸すれば、賃料収入が入るし、実家も維持できるよとアドバイスを受けたのですが、いかがでしょうか。

宮地理子先生の回答

ご実家が空き家になってしまうので、売却や賃貸を検討されているとのことです。

まず、亡きお父様の所有名義のままになっている土地・建物を、相続人であるお母様、貴方、妹さんで相続する人を決める話し合い(遺産分割協議)をしましょう。 

そして、土地・建物の所有名義を、貴方と妹さん2人の共有名義、又は貴方か妹さんの単独名義とする相続登記をします。

ご実家を賃貸する方針で進めるかどうかは、家賃収入とかかる費用を試算して、収益が見込めるかどうかを検討して、決めましょう。

ご実家の戸建住宅は築45年ですので、 耐震診断や耐震工事、相応のリフォーム工事が必要となりそうです。 

公的な助成制度として、 耐震診断士による耐震診断や、 耐震補強工事の助成金を受けられる制度があります。 中野区の助成制度を調べてみて、利用することを検討しましょう。

リフォーム工事代金は数百万円の規模でかかるでしょう。 信用力のある不動産業者に、工事代金を立て替えてもらい、 管理委託契約と賃貸借契約を締結する、不動産業者は、建物を転貸して賃料を回収し、工事代金立替金の分割返済と管理委託手数料を差し引く、残額を所有者が受け取るという方法も考えられます。

所有者となる貴方や妹さんに、経済的な利益がどのくらい残るのか、具体的に試算してみましょう。 また、不動産会社と賃借人との契約を定期借家契約にするとして、誰に、どのような条件で貸すのか、契約の内容がとても大切になります。

ぜひ、住宅生協にご相談してみてください。

賃貸の方針で収益が見込めない場合、売却の方針を検討した方がよさそうです。

ご実家の売却については、そのタイミングも含め、ご家族の思いを大切にしたいですね。ただし、お母様の判断能力が低下してしまうと、遺産分割協議ができず、貴方や妹さんの所有名義とする相続登記手続ができなくなります。 それだけは早急にすすめましょう。

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